栄西が著した「喫茶養生記(1211年)」には
「茶は養生の仙薬なり」
と記されているように、日本ではお茶は古くから身体に良い飲み物であることが知られてきました。
なかでも、お茶が昔は薬として注目されてきたのは、他の植物にあまり存在しない「カテキン」が、湯に溶けだしてそれを「お茶」として飲むことができたことによるものです。
お茶でうがいをすると風邪を引かないというのはカテキンが持つ殺菌作用を知っていた昔の人の知恵ではないでしょうか。
現在は様々な研究が進み、カテキンの効果効能が明らかにされてきています。
今、カテキンの効果として最も注目されているのは、抗ガン作用です。
また体内の毒素を消し、細胞や遺伝子の損傷を防ぐはたらきがあります。そのため環境汚染や食品添加 物、紫外線やストレスなどから身を守る成分として注目されています。
お茶にも紅茶、ほうじ茶、緑茶と種類がありますが、カテキンは「緑茶」に最も多く含まれています。
カテキンの主な効能には、
抗ガン作用、抗酸化作用(アンチエイジング)、抗肥満、血中コレステロール低下作用、血圧上昇抑制作用、血糖上昇抑制作用、抗菌作用、抗ウィルス作用、虫歯予防、口臭予防、脱臭作用などがあります。
もちろん、お茶は飲料であり、薬ではありません。
薬は病気の症状に対して処方されるもので治療を目的とします。これに対してお茶は、毎日の食事でとることで健康を損なわないようにする生体調節機能を得ることができます。
長い長い月日をかけて、人々が飲み継いできた「日本茶」は、栄養があり、しかも味や香りで好みを満たしてくれる。
近年では特に緑茶の健康効果は世界的に関心が高く、世界の緑茶生産量は年々増加しています。
私たちも、自国の素晴らしい飲み物を見直してみてはいかがでしょうか。
カテキンはお茶の渋み成分なので、渋いお茶というイメージがあるかもしれませんが、カテキンが豊富だから必ずしも渋いお茶ということではありません。
80℃以上のお湯で淹れるとカテキンが抽出されやすく、お茶の渋みが出やすいという特性はありますが、深蒸し茶のように渋みが少なくまろやかな味わいのお茶にもカテキンは含まれていますし、まったく渋みを感じない水出し煎茶でも沢山ではありませんが、カテキンは摂取できます。
一度にたくさんのカテキンを摂取しようとするのではなく、好みに合わせて「美味しく楽しく」飲み続けながら健康維持に役立てることが大切なのです。